2012.5.31

1.  私は、5月17日付けホームページに『混乱の根源は民主党内のねじれだ』と題するコメントを掲載した。要約して言えば、消費税増税法案の「今国会での成立に政治生命を賭ける」と表明した野田首相は、与野党逆転の参院でどうしても自・公両党の協力を得て法案を成立させたい。とすれば自・公が求める法案成立後の解散・総選挙を呑まざるを得ないが、そうすれば民主党内の消費税法案と早期解散・党分裂に反対する勢力との綱引きが激化せざるを得ない―との見通しを述べた。


2.  5月30日、野田首相と小沢元代表との会談が行われた。野田首相は消費増税法案について「財政状況が厳しい中、待ったなしだ。この国会で成立を期したい」と述べたが、小沢氏は「大増税の前にやるべきことがある。大増税に賛成というわけにはいかない」として反対姿勢を崩さず、平行線に終わった―ようである。これは想定内の「通過儀礼」で、誰もこれ以上のことは期待していなかった。会談では総選挙を含む民主党のあり様についても論議されたであろうが、霧の中である。


3.  「通過儀礼」をこなした野田首相は、いよいよ次のような選択が迫られよう。
(1)自・公と法案修正協議・合意(早期解散の合意含む)を得て、6月中旬の衆院での可決と、会期を7月末まで延長し参院での可決を目指す(「党分裂」の決断)。
(2)党の分裂含みの採決と早期解散では民主党自体が壊滅的だから、衆院で法案を議了させた上で、会期通り閉会し秋の臨時国会に継続審議(当面「分裂」回避)。
(3)上記(2)の場合、自・公は内閣不信任決議、問責決議を当然出してくるが、これには民主党全体が結束して否決する確認をする。
 基本的には上記(1)か(2)のいずれかであろうが、野田首相が「政治生命を懸ける」「乾坤一擲」との言辞を弄することからして、限りなく(1)の方向ではないか。


4.  「政治家の言葉は重い」と言われてきたが、最近の二大政党の党首たちのそれは何と軽いことか。野田首相は、東日本大震災の復旧・復興、福島原発の収束と除染や脱原発・自然エネルギーへの転換、デフレ脱却・景気回復、雇用の創出と安定などはそっちのけで「消費税増税に命を懸ける」と言い、また自民党の谷垣総裁らは、消費税増税の賛否は「小沢氏と決別するかどうかで法案の賛否を決める」と言う。国民の生活や経済よりも自らの延命と党利党略しか眼中にないのではないか。


5.  以上のように、若干延びるにしても会期末解散・総選挙となる公算は強い。
 だから、重ねて「選挙は日常活動の集約」であることを踏まえ、当面、1)公約違反の消費税増税反対、2)原発再稼働阻止、脱原発・自然エネルギーの飛躍的拡大、3)市場原理主義のTPP参加反対、4)雇用の創出・安定と生活再建などの大衆宣伝と大衆運動・集会等の取り組み強化を訴えたい。



以 上