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1. |
野田首相は、6月4日、「内閣の機能強化」のためと称して問責決議を受けた2大臣を含む5閣僚を入れ替える内閣再改造を行った。これは、自民党と「社会保障と税の一体改革」法案の修正協議に入る条件整備でもある。つまり、野田首相が会期末に改造を断行したのは、今国会での成立に「政治生命を懸けた」消費税増税を実現するため、『国民生活が第一』を唱える党内勢力との融和に見切りを付け、自民党が求める法案修正と法案成立後の解散・総選挙を意図したものと言える。
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2. |
だから野田首相は、内閣改造の記者会見で「法案修正協議の上で会期末までの衆院採決」を明言した。これを受けて民主・自民・公明の三党は、法案修正と衆院での採決時期をめぐる駆け引きを行っている。その結果次第で、参院での審議日数を考慮して会期延長幅が決まることになるが、自民・公明の賛成条件は「21日までの衆院採決」(民主党の分断)と「早期解散」(総選挙後の三党大連立誘い込み)であるから、依然、延長国会末の解散を孕んだ緊迫した事態が続くであろう。
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3. |
野田首相のこの決断は民主党内に対立と亀裂を深めている。性急な消費増税法案の採決と早期解散に反対する党内勢力を野田政権が見切り、自民・公明との協調に軸足を移すことは、政権交代時のマニフェストを投げ捨てるばかりか、党の分裂と総選挙惨敗、自公への政権明け渡しにつながりかねない。だから法案修正と衆院での採決に反対する声は強まり、民主党内の紛糾は避けられない。そのため党務をあずかる輿石幹事長らは修正協議と採決に慎重にならざるを得ない。だが、党内混乱を避けて衆院での採決を先送りすれば、「政治生命を懸ける」とした首相は与野党逆転の参院で政治責任を問う問責決議が可決され、失脚に直結しかねない。
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4. |
このように野田首相は政治的窮地に立たされているが、自業自得である。本来、「政治生命を懸け」て実行すべき東日本大震災の復旧・復興、福島原発の収束と除染や脱原発・自然エネルギーへの転換、デフレ脱却・景気回復、雇用の創出と安定などの施策と党内結束をないがしろにして、自民党との野合で公約違反の消費増税を最優先する路線に踏み出したからである。だが、今からでも遅くはない。国民の過半数を超える消費税増税反対の声に真摯に耳を傾け、修正協議を取りやめ、法案を取り下げ又は審議未了・廃案にし、出直すことである。
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5. |
しかし、野田政権が政権交代の原点を踏み外し、あくまで消費税増税に「命を懸ける」というのであれば、わが党は衆院での採決前に国民に信を問うことを強く求める。そしてわが党は、消費税増税、原発再稼働、TPP参加を阻止するとともに、大震災からの復興と国民の生活再建、デフレ脱却・景気回復こそが今日の政治が最優先すべき課題であることを広く国民に訴え、全力を上げて闘う。
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