2012.6.23

はじめに
 早いもので、皆さんに国会へ送って頂いて間もなく11年になります。この間、国会での政府との論戦は400回を超え、また党では、幹事長を4年間務め、現在は副党首兼選対委員長や参議院議員会長として党務と全国遊説等に飛び回っております。これまでの皆さんの後援に心からお礼申し上げると共に、引き続きのご支援をお願い申し上げ、早速、国政報告に移ります。


 
1. 民自公談合で進められる新自由主義政治
  1.  3年前、多くの国民は、社会のあらゆる分野に格差を拡大した自公政権の新自由主義政治に不満や怒りを募らせ、8月の総選挙で政治転換を希求し与野党逆転・政権交代を実現しました。
 ですから、誕生した民主・社民・国民新三党の連立政権は、その『政策合意書』の前文で政治転換を宣言しました。すなわち「家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる。また…年金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を信頼できる持続可能な制度へと組み替えていく」「日本経済を内需主導の経済へと転換を図り、…国民生活の立て直しを図っていく」などを謳い上げ、直後の2010年度予算編成では、社会保障予算の拡充と公共事業の大幅削減、雇用対策の強化、子ども手当、高校授業料無償化、販売農家の戸別所得補償制度など国民の期待に応える施策を打ち出しました。わが党の主張が多く生かされました。

  2.  しかし、10年5月に普天間基地の辺野古移設の閣議決定に反対して社民党が政権を離脱して以降、民主党政権は首相交代の度にこの姿勢を後退させてきました。特に野田内閣は、衆参のねじれを口実に自民・公明との談合路線に転じて、震災復興増税と法人税5%減税、改憲に向けた憲法審査会の始動、市場万能主義のTPP参加、日米同盟の強化と武器輸出三原則の緩和、違憲・違法の公務員給与大幅削減、そしていま社会保障を口実とした消費税増税、脱原発と真逆の原発の再稼働など、自公政権でさえできなかった反国民的政策を押し進めているのです。

  3.  ですから今日、国民の中に「自民党もダメだが民主党もダメだ」の失望感が拡がり、野田内閣の支持率は25%前後に低落し不支持率も55%に上ります。そのため連合の古賀会長も「(政権交代に)期待した熱い思いは残念ながら冷め、失望や落胆に変わった」とメーデーで批判せざるを得なかった。
 そして、こうした民主・自民両党への国民の不信は既成政党全体への不信に広がって政党支持なし層を増大させ、それが既成の制度や政党を新自由主義の立場からなで斬りにする大衆迎合的で強権的な橋下「大阪維新の会」などに期待する危険な傾向の基盤となっているのです。


     
2. 民主党分裂含みで解散・総選挙へ
  1.  野田首相は、6月4日、問責決議を受けた2大臣を含む5閣僚を入れ替える内閣再改造を行い、その記者会見で「社会保障と税の一体改革関連法案を修正協議の上で会期末までに衆院で採決したい」と表明しました。
 私は、これは自民党が法案に賛成する4条件―(1)問責2大臣の更迭、(2)法案の修正(=民主党マニフェストの撤回など)、(3)会期内の衆院採決(=民主党内の消費税増税反対派との決別)、(4)法案成立後の解散・総選挙―の受け入れ表明だと直感しました。つまり小沢元代表との2回の儀礼的会談を経て消費税増税反対の党内勢力と決別し、自公と共に一体改革法案を成立させて解散へと進む筋書きです。そこには、総選挙後に民自公の大連立政権を組もうという意図が透けて見えます。

  2.  そして三党の「社会保障と税の一体改革」法案の「密室談合」は6月15日に合意しましたが、中身は「社会保障抜き消費税増税断行」法案―消費税率を現行の5%から14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げ―という代物です。
 これは、3年前の三党連立政権の「政策合意」―現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない―に反することは明らかです。だから、3年前の連立三党の党首であった鳩山由紀夫(民主)、福島みずほ(社民)、亀井静香(国民新)がこぞって反対を表明してきたのです。ですから野田内閣に政権の正統性がないことは明らかでしょう。
 にもかかわらず、野田内閣と民主・自民・公明三党は、「赤信号、三党で渡れば選挙も怖くない」とばかりに、衆院での採決を急いでいます。こんなことを許せば、今後の国会審議はさらに形骸化していきます。残念ながら、マスコミの多くは修正法案の中身や三党の横暴さをまともに批判せず、もっぱら民主党内政局―小沢元代表らが党を出るかどうか―に集中し、分裂を推奨している感じです。

  3.  私は、今後の政局見通しを次のように見ています。
 (1)衆院で26日に修正法案を採決し、民自公の賛成多数で可決し参院に送付される。民主党内で造反した数十名が、その後、離党し新党準備に入ると思われる。
 (2)参院では27日以降、修正法案の審議に入り、7月中下旬には採決・可決される。この過程で参院民主党の造反グループが離党し先行組と合流するでしょう。
 (3)その間、自公両党は法案協力の見返りに早期解散を求め、公債特例法案と参院での首相問責決議で内閣を揺さぶります。これまでの流れから見て、野田首相は「総選挙後の三党大連立」を密約して「話し合い解散」に応じるでしょう。

  4.  したがって、最短の場合、7月下旬解散・9月上旬総選挙があり得ます。選挙は現行制度のままで行われるでしょう。その準備が急務です。
なお、民主党執行部は、分裂回避と衆院での過半数割れを回避するため、採決での造反者を「厳重注意」などの軽い処分で済ませようとしているようですが、これだけ理念・政策の違いが明確だけに、造反・分裂は避けられないでしょう。
 このように、民主党の政策にぶれが大きいのは、党としての明確な理念を持たず、その政策はさまざまな支持層の要求の寄せ集めですから、状況変化によって常に動揺するのです。それにしても野田政権誕生以降、マニフェストで約束したことを次々放棄し、約束もしてない大企業の要求を政策にして次々打ち出してきました。まさに「第2自民党」です。だから内部対立が激しくなるのは当然なのです。

  5.  わが党は、野田政権は消費税増税や原発再稼動をめぐる国民世論に真摯に耳を傾けよと一貫して追及してきました。そして、野田政権が公約と正反対の消費税増税をやろうというのならば、衆院での採決前に国民に信を問うのが筋だと主張してきました。それが、今日の深刻な政治不信を解消する政府の責任だからです。しかしこれに耳を貸す姿勢もありません。


3. 今日的な政治の争点
   今日、首相が政治生命を懸けるべきは、決して消費税増税ではなく、東日本大震災の復旧・復興、福島第一原発事故の収束と除染、原発停止と脱原発・自然エネルギーへの転換、デフレ脱却・景気回復、雇用の創出・安定、そして社会保障制度改革などではありませんか。政治の根本が狂っています。これらは、目前の総選挙の争点でもありますから、わが党の考えを述べておきます。

  (1) 「社会保障と税の一体改革」 批判 
  1.  社会保障制度は社会の持続的発展の礎であり、その改革は、憲法25条の理念を踏まえた「老後に安心できる年金、ほとんどお金がかからない医療・介護や子育て制度」の全体像がまず示され、一定の国民合意が不可欠です。その上で、それを支える財源がどの程度必要で、これをあらゆる税目から国民や企業にどのように負担を求めるかが論じられるべきです。消費税に限定すべきではありません。また大きな課題ですから二国会くらいの審議で国民合意を得るべきです。
 しかし、野田内閣の一体改革法案も、三党修正案も、社会保障制度改革の中身は先送りで消費税増税を断行しようというものです。こんな代物は断じて認めることはできません。社民党は、現状での消費税増税には断固反対します。

    2.  反対する第1の理由は、さらに景気悪化をもたらすからです。
 給料や物価が下がり続けているデフレ状況の下で、震災復興に所得税と住民税を増税した上に、さらに消費税率倍増では国民の可処分所得は減り、内需も景気も後退することは明らかです。民間研究機関の試算では、復興増税などの負担増に消費税増税5%分を加えると、年収500万円の4人世帯では約30万円の負担増になると言います。年金生活者は年金減額と共にさらに生活困窮を余儀なくされます。

    3.  第2の理由は、消費税増税の一方で大企業や金持ち優遇税制が放置されているからです。
 私は、参院予算委員会(3月21日)で、「国税収入は、1990年度の62.8兆円が2010年度には43.7兆円に約20兆円も減少している。25年前よりGDPは約5割も拡大しており景気悪化は理由に当たらない。これは、人為的政策的に税収が減らされてきたからだ。所得税の最高税率70%が現在は40%に、また法人税の最高税率43.3%が現在は30%に引き下げられてきた。だから国税収入の構成推移を見ると、1990年度には直接税が全体の73.7%を占め、間接税全体では26.3%だったが、2010年度には直接税が56.3%へ減少し、間接税は全体で43.7%へと増大している」と、企業と富裕層の優遇税制について政府を追及しました。
 しかも、消費税は「福祉目的」の名目で1989年に導入され、以来23年間の消費税収総額は238兆円に上るが、同じ期間の企業減税は223兆円にも上るのです。つまり消費税収は企業減税財源に回されてきた。こうした企業減税の結果、資本金10億円以上の企業の2010年の内部留保は260兆円超(国の一般歳出の約4倍)にも上っているのに、民自公は談合で法人税をさらに5%引き下げた。今回の増税分の一部も法人税減税の穴埋めに回ることになる。到底容認できませんよ。
 だから私は、「各国の法人税のダンピング競争が各国の税収減と財政危機の一因なのだから、政府は各国政府に法人税の協調増税を呼び掛けるべきだ」と政府に迫ったのです。これらの是正なしの消費税増税なんて断じて認められませんよ。

    4.  第3の理由は、歳出削減・無駄排除などが全く不十分だからです。
 社民党は一貫して、(1)不要不急の事業の削減・先送り、原発予算や防衛費・米軍への「思いやり予算」の削減、(2)特別会計の剰余金等の活用、(3)国から補助金などを受ける法人等への支出見直しと天下り役員の削減、(4)所得税・相続税・資産課税等の累進性強化…などで年間10兆円程度の財源を確保すべきだと追及してきました。私たちの追及に菅元首相は、「消費増税は逆立ちしても鼻血も出ないほど完全に無駄をなくした時」と答えましたが、この改革も極めて不十分なのです。

    5.  社民党は、消費税増税の前に、(1)あるべき社会保障制度の提示と国民合意、(2)不公平税制の是正や歳出削減の断行、(3)デフレ脱却・景気回復策の実行が不可欠であり、その上でなお消費税増税が必要というのであれば、例えば年収500万円以下の所得層の負担軽減策や生活必需品の税率据え置き(複数税率)を示すべきだと考えます。これらの改革を放置して取り易いところから取り立てる消費税増税策には断固反対です。

  (2) 震災復興と脱原発・自然エネルギーへの転換
    1.  政府のもたつきから大震災の復旧・復興が大幅に遅れています。「都市の復興」重視でなく「人間の復興」を基本にもっと加速すべきです。当然、地域コミュ二ティごとの高台移転、雇用、生活支援などを住民合意で加速せよと追及しています。

    2.  野田政権は、昨年12月16日、福島第一原発が冷温停止状態を達成したとして「事故収束」を宣言し、そして同21日、福島原発1〜4号機の廃炉の工程表―(1)2年以内に使用済み燃料プールの燃料取り出しに着手し、(2)20〜25年後までに溶け落ちた燃料を取り出し、(3)30〜40年後までに廃炉を終える―を発表しました。
 わが党は、「冷温停止とは原子炉が健全な状態の場合を指すのであって、事故の収束を宣言できる状況ではない」と批判しました。福島県の佐藤知事も「事故は収束していない」と反論しました。それは、1〜3号機の溶融核燃料がメルトダウンし、圧力容器と格納容器の底を突き抜け、地下の岩盤に向かっており、これが地下水の汚染を広げており、大量の冷却水で事故原子炉のうわべが100度以下になったから「事故収束」というのは早計過ぎるし、国民騙しです。
 現に、今年6月9日、政府は避難地域に設定されている地域の中で、5年後には32%、10年後も18%の住民が帰還困難という予測を出しました。また、放射能汚染は東日本全域に及んでおり、例えば、東京湾の海底土に含まれる放射性セシウムが昨年8月から約7か月間で1.5〜13倍に増えたことが近畿大の調査で判明しました。さらに東京電力は5月30日に福島原発から20キロ圏内の海域で採取した魚介類から高濃度の放射性セシウムを検出したと発表しました。半年前の「事故収束」宣言は国民の実感と全くかい離し、国民に不安を広げています。
 だから、政府・東電は全力を挙げて放射能漏れ防止や除染、長期にわたる健康診断・管理を行い、また長期に帰郷できない人々の土地・家屋の買い上げ、移住と雇用対策などを急ぐべきなのです。

    3.  野田内閣は、発足後の「脱原発依存社会」表明を投げ捨て、6月16日に関西電力大飯原発3〜4号機の再稼働を決定しました。わが党は、(1)福島原発事故の原因究明―電源喪失以外に設備・機器の断裂はなかったかなどができていない、(2)原子力安全委員会さえ「ストレステストの一次評価だけでは不十分」としている、(3)新たな原子力規制機関(規制委員会及び規制庁)が発足しておらず、新たな安全基準もできていない、(4)安全対策85項目中、免震棟建設やフィルター付きベント設備の不備など31項目が未達成である、(5)何よりも国民の過半数が再稼働に反対している―ことなどから、安全性は全く確保されないとして再稼動に断固反対してきました。政府が取るべき策は、原発の再稼働ではなく、(1)中長期の脱原発・自然エネルギー確保の工程表策定、(2)当面の原発以外の電源確保策、(3)全国的な電力融通策とピーク時の節電対策―などではありませんか。
 野田首相は「国民の生活を守るため」と言うが、それは「大企業の利益を守るため」であって「国民のいのち」ではないし、「私が責任をもって」と言うが万一事故が起こった場合どんな責任をとれるのか、全く無責任の極みですよ。

    4.  他方、全国54基の原発に溜まった使用済み核燃料は約16,530トン(小出・京都大助教によれば広島原爆換算で約110万発分!)にも上ります。現在、これが無害化する数万年後まで保管できる貯蔵施設はないし、仮に建設しても地震列島・日本で安全の保証はありません。しかもその貯蔵や廃炉にかかる莫大な費用はすべて国民の電気料金や税負担になります。歴代政権と電力会社は、いわば「核廃棄物垂れ流しのトイレなきマンション」に国民を閉じ込めてきたと言えます。
 今日、福島原発事故を経験し、国民の7〜8割が「原発の段階的廃止」を求めています。わが党は、「核と人類は共存できない」と一貫して脱原発・自然エネルギーへの転換を掲げて闘ってきましたが、原発を、そして福島原発事故を止め得なかったことは私たちの力不足であり、痛恨の極みです。だからこそ、原発再稼動に断固反対すると共に、再生可能な自然エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱発電や燃料電池など)に依拠する社会に一日も早く転換しなければなりません。
 そのためわが党は、昨年5月、『脱原発アクションプログラム』を発表しました。その要点は、(1)当面、新規原発建設中止、震源域立地や40年を超える原発の廃炉、事故原因を究明した上ですべての原発に厳しい安全基準を適用、(2)再生可能な自然エネルギーへの転換を急ぎ、2020年までに原発をゼロに、(3)2050年までには自然エネルギー100%の日本にもっていく―というものです。
 この提言を、約750万筆の脱原発署名をさらに広げて圧倒的な世論に高め、一日も早く国策にするため、脱原発を希求するすべての勢力・グループと共に全力を挙げていきます。この50年間に作られた原発は私たちが生きているうちに廃絶する、それが現在を生きる者の責任だと考えます。

  (3) 雇用創出と安定こそ健全な社会存続の基礎
     今日、全勤労者の約4割=2000万人が劣悪な労働条件の非正規・臨時雇用であり、その多くは年収200万円以下で、1200万人にも上ります。職を求める若者の2人に1人が非正規の職しかなく、未来を担う若者が将来不安に慄く実態にあります。
 憲法の第25条と第27条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、勤労の権利を有する。国はそのために努めなければならない」と定めていますが、小泉「構造改革」はこの国民の基本的権利を、ひいては社会を壊してきました。まさに政治災害ですよ。
 だから社民党は、民主・国民新と共に製造業や日雇い派遣の禁止など労働者派遣法の抜本改正案を提案したのですが、野田内閣は自民・公明とこれを骨抜きにする法案を成立させてしまいました。
 安定雇用は社会の持続的発展の基礎です。だから、いま政治が為すべきは、(1)依然不足する医療や介護、福祉、子育て、教育や環境などの分野での正規雇用の創出と待遇改善、(2)非正規労働の規制強化と正規への転換、(3)長時間労働の規制・ワークシェアリング、(4)時給1000円以上の最低賃金などの実現です。
 労働組合が是非ともこうした生活護憲の闘いを積極的に進めてほしい。

 
  (4) 国民生活に多大な影響を与えるTPP参加
     TPPは、米国主導の環太平洋の経済連携協定で、加盟国の間で取引される全品目について、2015年をめどに関税全廃を目指す仕組みです。これに参加すれば、国内の農畜産業をはじめ24分野(医療・国民皆保険、医薬品認可、食の安全基準(遺伝子組換え、残留農薬)、投資(外国資本の自由化)、公共調達(公共事業)、郵政など)の市場開放を迫られ、国民生活は多大な影響を受けます。米国主導の市場万能主義の新自由主義そのものなのです。
 しかし政府は、参加のメリットやデメリット、それに対する国内対策も国民にまったく説明せず(できず)、米国の要求に沿って「バスに乗り遅れるな」と叫んできました。米国運転の「高速ツアーバス」に乗せられるようなもので、危険極まりありません。
 今日、日本が重視すべきは、40億人超の人口を抱える世界の成長センター・アジア諸国との個別の経済連携を深め、共存共栄を図ることでしょう。これを基本としつつ、TPPについては速やかな情報公開と重要品目の関税の削減・撤廃はしないことの明確化を政府に求めるなど、農業団体はじめ関係団体と共にTPP参加反対の闘いを進めていきます。


4. 私たちの課題
  1.  では、こうした情勢の下での私たちの課題は何かです。
 第1は、2009年の三党連立政権の『政策合意』は、政権交代の原点であり、国民の生活再建にとって重要な政権公約ですから、引き続き政権にその実現を繰り返し迫っていきます。
 第2は、14年連続で賃金が下がり続ける下での復興増税や消費税倍増は、当然、生活を低下させます。だから労働組合が経営側に生活改善の要求闘争を強めると共に、政府に対して消費税増税反対や違憲・違法な公務員給与削減反対などの政策・制度要求を大衆闘争で迫らなければ、労働組合の使命も果たせません。野田内閣の政権公約からの後退は、財界・自民党の巻き返しもありますが、目に見える大衆闘争の不十分さと捉え、これを強化すべきです。
 第3は、政権は交代したが政治は変わらず、しかも前述した民自公の動向に国民の苛立ちが募り、既成政党への不満・不信が高まっています。そしてそれは、国民が社会民主主義やリベラル勢力への期待ではなくて、真逆の「大阪維新の会」などの伸張に期待する危険な傾向が生まれています。これは既成政党や労働運動の弱さの責任でもありますから、その自覚の上に大衆闘争を強化しなければなりません。と同時に、強まっている新自由主義政治への政策的対抗軸を明確にし、その実現を目指す政治勢力が結集して闘い、同時に国会での一定の議席確保が不可欠です。今こそ社民党が、中央・地方でこうした新自由主義に反対する諸勢力の結集軸の役割を果たしていかねばなりません。

  2.  選挙結果は日常活動の集約です。だから、候補者擁立を急ぐと共に、(1)公約違反の消費税増税反対、(2)原発再稼働阻止、脱原発・自然エネルギーの飛躍的拡大、(3)市場原理主義のTPP参加反対、(4)雇用の創出・安定と生活再建、(5)平和憲法擁護などの宣伝活動と大衆集会などを組織し、その中で、『政権交代前の政治に戻る民主・自民は許せない。これと対決して闘う社民党と共に闘おう』との意識を一人でも多くの人々に広げることです。今日、その条件は大きく拡大しています。それぞれの実状に即してその活動を起こしてほしいし、協力頂きたい。
 「社民党が小さくなって政治がおかしくなった」と言われて久しいが、そもそも社会党・社民党は、労働組合の経済闘争だけでは勤労国民の生活や諸権利は守れないから勤労諸階層の政治部隊として誕生した歴史があります。これを強く大きくする以外に根本的な解決策はないことを現実が示しています。この認識を大きく広げるチャンスです。今こそこのチャンスに挑戦し、一歩二歩前進しようではありませんか。

(以上は、6月23日の高岡市後援会総会での「国政報告」の要旨です。)

     

以 上