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1. |
昨日、安倍首相はTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を正式に表明した。
TPPとは、米国主導の経済連携協定で、2015年をめどに加盟国間で取引される全品目の関税全廃を目指す枠組みである。日本がこれに参加すれば、国内の農畜産業をはじめ、医療・国民皆保険、医薬品認可、食の安全基準、外国資本の投資自由化、公共調達、郵政など21分野の市場開放を行うことになり、国民生活に甚大な悪影響を与える恐れがあることから、社民党は参加に強く反対してきた。即刻、参加表明の撤回を求める。
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2. |
そもそも自民党は、先の総選挙で、「聖域なき関税撤廃が前提である限りは反対する」をはじめ、食の安全・安心の基準確保、国民皆保険制度の維持、ISD(投資家対国家訴訟)条項には合意しないことなど6項目を選挙公約としてきた。安倍首相は、2月の日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提でないと確認できた」と強弁したが、であれば、この6項目はパッケージでありどれ一つ欠けても交渉には参加はしないことを国内外に明言することが責任ある態度であるが、これには一切触れていない。
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3. |
TPP交渉会合は11か国ですでに16回に及んで大枠が固まりつつあり、あと1〜2回で一定の結論を得て、10月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で基本合意を行い、今年中の妥結を目指している。日本がこれから参加しても、先の6項目が受け入れられる条件はほとんどない。というのは、後発のカナダ、メキシコの参加に際しては「すでに合意済みの内容について再交渉は要求できない、交渉打ち切りの権利は当初からの9か国に限られる」とされており、また米国の交渉担当官が、「日本が交渉に参加した場合、再交渉も文言修正も新提案もさせない」と表明していたことも明らかになったからである。
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4. |
政府は、こうした重大な事実を全く国会にも国民にも示してこなかった。国会軽視、国民無視の重大な背信行為である。こうした状況の下、今になって交渉参加を表明したのは、ひたすら財界への奉仕と米国への従属的姿勢からである。そしてもっと悪質なのは、問題が明らかになるのは参院選後の9月以降であるから、選挙に勝てばあとはどうにでもなるという無責任さである。自民党は先の総選挙で「(強い)日本を取り戻す」と訴えたが、これでは「日本を売り渡す」に等しい態度ではないか。
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5. |
この間、交渉参加国の動向や日本が参加した際のデメリットなど、国民がTPP参加の是非を判断するための基本的な情報開示や、国民的議論が行われてこなかった事実を取り上げただけでも、今回の参加表明は断じて認められない。社民党はTPP参加を危惧する広範な団体・個人と一層連携を強め、交渉参加撤回の取り組みに全力を挙げる。同時に、中国や韓国を含めた東アジア諸国を中心に、各国の食料主権や多様な農業基盤などが保障された相互互恵的な経済連携を図る「東アジア共同体」構想を推進していく。
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