2013.6.13

 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、一般職給与法改正案に反対する立場から討論いたします。
 この法案は、55歳以上の国家公務員について、原則として昇給を行なわないことに改め、また例外的に行なう職員についてもその幅を縮小するものです。
       
 反対する理由の第一は、職員の生涯にわたる生活設計を大きく狂わせることです。定年を目前にしての昇給停止改定は、先の退職手当の大幅引き下げと相まって、55歳以上の生涯賃金に大きな誤算をもたらすと共に、想定外の早期退職を誘発するなど、国の中・長期的な年齢別人事計画をも狂わせることになります。
       
 反対する理由の第二は、これは昨2012年の人事院勧告に基づく実施だと言いますが、これには大きな矛盾があります。それは、政府が昨年2月に、2年前の2011年の人事院勧告を全く無視した7.8%の賃下げを強行したまま、現在に至った不当性には頬かむりをして、昨2012年の勧告のうち昇給停止部分のみをツマミ食い実施することだからです。
 改めて指摘するまでもなく、国家公務員法第28条は人事院の給与勧告を毎年少なくとも1回と定めています。一昨年の勧告が政府によって蹂躙された以上、昨年の勧告の、しかも職員にとって不利益部分だけを、政府がしたり顔に法制化の提案をする資格はありません。
       
 反対する第三の理由は、安倍政権の経済・賃金政策との関連からです。安倍総理は「成長戦略」を口にし、一部大企業に賃上げを要請しました。さらに今週に入って、「皆さんの年収が150万円増える」といった誇大宣伝を振り撒いています。言葉遣いの揺れや「国民総所得」を勤労者の年収のように装う欺瞞性も問題ですが、政権が口先だけでも賃上げの必要性を言う以上、64万人の大雇用主として国家公務員の賃金を引き下げる政策は採るべきでなく、55歳以上もそうですが、7.8%の賃下げも取りやめなければ、説得力がありません。
 ましてや343万人の地方公務員に国並みの賃下げを押し付ける「通知」は、地方自治の原則や地方交付税法・地方公務員法に反し、さらには公益的団体や中小企業の労働者にも影響しますから、政権の宣伝する「デフレ脱却」に逆行する政策であり、矛盾の極致といわねばなりません。
 本当に日銀総裁が言うように「実体経済への展開が順調」だというなら、政府はそれに矛盾する賃下げは直ちに撤回し、官民とも勤労者の賃金引き上げや非正規労働者の正規化などに努め、公務員の労働基本権を回復し、低下し続けた生活を再建する第一歩とすべきです。  
 以上申し述べ、一般職給与法改正案に反対する討論といたします。
  (これは、6月13日の参議院総務委員会での反対討論です。)

以 上