2014.10.9

(1) 「土井たか子さんお別れの会」(仮称)について
 本日の常任幹事会で、吉田党首を委員長とする実行委員会を発足させ、「土井たか子さんお別れの会」(仮称)を催すことを決定した。各界各層から様々な声を寄せていただいており、政界や様々な民主団体、一般市民の皆様に開かれた会にすべく検討したい。できれば11月末までには行いたい。日時・内容を含めて来週の常任幹事会で決定し発表したい。
       
(2) 百田直樹氏はNHK経営委員を辞任すべきだ
 NHK経営委員の百田直樹氏は、不適切発言を繰り返し衆・参総務委員会などで厳しく批判されてきたが、9月28日、ツイッターで又しても問題発言があった。曰く「土井たか子が死んだらしい。…拉致被害者の家族の情報を北朝鮮に流した疑いもある」と指摘し、「まさしく売国奴だった」と口汚く言い放っている。
 「拉致被害者の家族の情報を北朝鮮に流した」とか、「まさしく売国奴だった」と言う根拠も示さず(事実無根だから)、故人及びわが党を貶める誹謗中傷の類いである。公共放送NHKの経営委員の立場もわきまえず、NHKの品位や中立公正性を疑わしめる言動であり、引き続きと他党と共に辞任を求めていく。
 なお、この問題に対する党の基本的姿勢は【別紙】のとおりで、国民の批判に対して「(拉致はないと)否定されてもなお、党が追及し続けたかという点は、率直に言って十分でなかった」と、素直に「力不足を謝罪」した(他党は口閉ざしていた)ことによって社民党がスケープゴートにされてきた事実を見抜いてほしい。
       
(3) 「戦争放棄をうたった憲法9条をもつ日本国民」がノーベル平和賞候補に
 ノーベル賞物理学賞に日本の3人が選ばれたことに日本中が沸き返った。これに関連して、今月3日、ノルウェーの民間研究機関・オスロ国際平和研究所が、10日に発表されるノーベル平和賞の受賞予測で、278候補のトップに「戦争放棄をうたった憲法9条をもつ日本国民」を挙げた。その理由として、安倍政権の集団的自衛権行使の閣議決定によって憲法9条が危機にあるが、「原爆などで甚大な被害を受けながら、戦争を放棄し平和のうちに復興を遂げた日本の戦後約70年間の歩みに共感する人は世界に多い。世界から歓迎されるだろう」としている。予測だからその当否は判らないが、戦後日本の歩みが世界から賞賛され、尊敬や信頼を得ていることは誇るべきだ。もし受賞した場合、「戦争ができる国を目指す」安倍総理が国民を代表して受領に行くとしたら、何とも皮肉な話だ。
       
(4) 地理的制約を撤廃する日米防衛協力の指針の見直しに関する中間報告
 政府は8日、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しに関する中間報告をまとめた。「周辺事態」を削除し、平時から「緊急事態」まで切れ目なく米軍支援を可能にする。米軍への後方支援や海洋安全保障での対米協力の範囲を「グローバル(地球規模)な平和と安全」にまで拡大することも明記した。一連の見直しによって自衛隊の活動に地理的制約は事実上なくなり、世界中へ出動することになる。
       





【別紙】 
2002年10月17日

 さる10月10日、社会民主党常任幹事会は、朝鮮労働党中央委員会に宛てて、拉致事件について、厳重に抗議するものであることを記した書簡を送付した。9月17日の日朝首脳会談の翌日に党は声明を発表しているが、この間の経過と論点を記すことにする。
       
1. 日朝首脳会談の席上で金正日総書記が認めた拉致事件が、多くの日本人を力づくで連れ去り、かくも長い時間にわたって行動の自由を奪って今日に至ったことは、許すことのできない犯罪行為であり、厳しく抗議するものである。とりわけ死亡と発表された8人が亡くなった状況についての朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)側の説明は、不十分かつ不審な点も多く、納得できるものではない。よってわが党は、朝鮮労働党に抗議と真相解明を求める書簡を送付したものである。
       
2. 党は、北朝鮮による拉致問題の真相解明のために、また真実の追及のために何をしてきたのかとの批判を受けてきた。しかし、1997年以後、社民党が参加した与党三党および全政党の国会議員による訪朝の場で強く質しても、「拉致の事実はない」と北朝鮮側は強く否定してきた。否定されてもなお、党が追及し続けたかという点は、率直に言って十分ではなかった。被害者ならびに被害者家族の皆さんには、たいへん申し訳なく、力不足を心より謝罪する。
       
3. 日本社会党(当時)と朝鮮労働党との間の交流は、1963年に始まった。わが党の先達は党間交流を積み重ね、日朝関係の改善と正常化をめざしてきた。そして、日中国交回復に向けた努力とともに、東アジアの平和と安定をつくるために積極的な役割をはたしてきた。
 東西冷戦が終結すると、日朝外交の場は党間交流から、超党派の交流に引き継がれ、日朝国交正常化を念頭にさまざまな努力が続けられてきた。しかし、残念なことに、こうした日朝間の場で「拉致事件」について明らかにされることはなかった。
       
4. 拉致事件の徹底解明を強く求めるものである。日朝国交正常化交渉の場で、いまだ不明で不審である点が明らかになるように、日本政府は粘り強く交渉にあたるべきである。拉致事件の加害者である北朝鮮の側から、最大限の誠意ある努力が尽くされるかどうかが、日朝正常化交渉の今後にも大きく関わってくるのは当然のことだ。
       
5. わが国は、かつて朝鮮半島を植民地として、1910年より36年間にわたる支配を強要した歴史を持っている。創氏改名をもって朝鮮名を奪い、皇民化教育によって五族協和のかけ声のもとに戦争に協力させていった歴史と、本人の意志に反して正確な統計がないほどに大量の朝鮮人を強制連行・強制労働させてきた傷痕も、いまだ癒えていない。小泉総理が平壌を訪問して、「お詫びと償い」に言及したことは正しかった。
 また、今回の拉致事件の展開とあわせて、在日朝鮮人に対しての差別・迫害が強まっており、心ない嫌がらせ事件が続いている。かつての植民地支配があり、歴史的な経緯をへて日本に定住する在日朝鮮人の基本的人権は、こうした時だからこそ強く守られなければならない。
       
6. 社会民主党はこの間、「北東アジア総合安保保障機構の創設」および「北東アジアの非核地帯の設置」の構想(土井ドクトリン)を実現するために、各国首脳と意見交換してきた。土井党首は、金大中大統領(2000年8月)、モンゴルのエンクバヤル首相(2000年9月)、中国の江沢民国家主席(2001年1月)、さらにロシアのイワノフ外相(2002年2月)と会談を続けている。今回の日朝首脳会談で両国首脳により発表された『平壌宣言』の趣旨をふまえて、日朝間の国交正常化はもとより、多国間の対話と協調による平和の枠組み作りが北東アジアの平和と安定をもたらすことをめざして、党としてもたえまない努力を重ねていくことを明らかにする。
       





2002.10.10

 書簡をもって啓上いたします。
 9月17日に行われた日朝首脳会談において、日朝平壌宣言が発表されました。
 日朝間の不幸な歴史を清算し、懸案事項を解決し、実りある友好関係を樹立することが、地域の平和と安定に大きく寄与するという認識をわが党も支持するものであります。そして、政府間の国交正常化交渉が進み、宣言の趣旨が誠実に話し合われることを期待します。
 党間交流は、相互信頼があってこそ成立します。1997年以降、わが党が訪朝団として参加した幾たびかの会談の場で、たびたび拉致問題をめぐってのやりとりがありました。これまで、貴党は、私たち及び日本の超党派の訪朝団に対して、「拉致の事実はない」と言明されてきました。
 しかし、首脳会談の席上で金正日国防委員長自身が認めた「拉致事件」の事実に、私たちは大きな衝撃と憤りを持ちました。今回明らかとなった拉致事件は、信じがたいものであり、許しがたい犯罪行為です。私たちは、厳重に抗議をするものです。
 私たちは、拉致事件の全貌と詳細を明らかにされることを強く求めます。日朝関係改善の重要性に鑑み、真摯に受け止めていただきますよう要請いたします。
社会民主党常任幹事会
       

以 上