2014.11.13

(1) 前途多難を窺わせる日中首脳会談
 安倍首相は、11月9日から17日まで、中国、ミャンマー、オーストラリアを歴訪している。10日−11日のAPEC首脳会議で北京を訪れた際、日中首脳会談が行われ世界からも注目されたが、米中首脳会談が延べ10時間に及んだことに比べ、わずか25分間という短さで、両者の硬い表情に象徴されるように前途多難を窺わせた。
 一体、何が成果だったのか。尖閣諸島の領有権については、双方に異見があることを認め、海上危機管理メカニズムの話し合いをしていくことは確認したようだが、これは6月のわが党の訪中団とも合意できていたことだ。今後の日中関係については、これまでの両国間の基本的政治文書の諸原則を踏まえて進めるとしたことは、安倍政権の歪んだ歴史認識に注文が付けられたということだろう。これで安倍首相の靖国参拝に歯止めが掛かったと見るべきだろう。世界第2位、第3位の経済大国間の首脳会談にしてはお寒い中身で、首相自らの歪んだ歴史認識に基づく言動がこうした事態を招いていることを猛省すべきだ。
     
(2) アベノミクスの失敗隠し解散
 10日以降、にわかに衆院解散・総選挙の動きが浮上してきた。すでにわが党は、11日に、15日に全国会議を招集することを通知し、今朝の常任幹事会で、19日にも解散、12月2日公示・14日投開票の見通しに立って、闘争本部を設置した。
 いま解散・総選挙を行うことにまったく大義はない。安倍首相の動機は、@消費増税、集団的自衛権行使容認、原発再稼働、TPP交渉などに依然国民の反対が強く、内閣支持が落ちてきた。A大敗が予想される16日の沖縄県知事選挙の影響や閣僚の相次ぐ不祥事を早く消したい。Bそこでアベノミクスの失敗で消費増税ができそうにない事態を逆手にとって「消費増税先送り」を打ち出し、失政を隠したい。C野党の選挙準備・協力ができていない今、総選挙をやれば大負けはしない―などであろう。
 そもそも消費税引き上げ法の附則第18条3項には「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」と定めた、いわゆる景気弾力条項があるわけだから、これに従って先送りなど所要の措置を採ればよいのであって、約800億円もかけて安倍政権の失政を隠ぺいする総選挙を行う意味は全くない。
 国民を馬鹿にした話だが、それでも与党に安定多数を許せば、「安倍政権とその政策は信任された」と開き直り、消費増税の先送り実施と法人税減税、原発再稼働、集団的自衛権の行使にかかる関連法案整備、一層地方を疲弊させるTPP参加などを押し切ろうとしてくることは目に見えている。「自民党を勝たせることは自分の首を絞めることだ」と、政策を含めしっかり国民に訴えたい。
 わが党としては、30名の小選挙区候補者擁立に向け全力を挙げることを確認した。
       

以 上